美容師歴22年。大手サロンから独立してフェルマータを開いた私が、なぜ「マンツーマン・完全個室」という形にこだわったのか。正直にお話しします。
大手サロンで感じた、小さな違和感
若い頃から美容師一本でやってきました。大手サロンでの日々は、活気があって、仲間もいて、決して悪いものではなかった。でも、働けば働くほど、心の中に小さな引っかかりが生まれていったんです。
大勢のお客様とスタッフに囲まれた環境の中で、「施術に集中できていない」と感じることが増えてきました。複数のお客様を同時に担当しながら、頭の中は常に段取りでいっぱい。目の前にいるお客様のことだけを考える時間が、思うように取れなかった。
そして気づいたんです。私は、複数のお客様を同時進行で担当するのが苦手なんだと。これは欠点かもしれない。でも同時に、それが自分の「こだわり」でもあると。
縮毛矯正は、絶対に「ながら作業」にしたくない
私のメイン施術は縮毛矯正です。縮毛矯正は、髪の状態・薬剤の選定・アイロンの温度・塗布のタイミング……すべてが繊細に絡み合う施術です。少しの判断ミスが、取り返しのつかないダメージにつながることもある。
だからこそ、縮毛矯正をしている間は、そのお客様のことだけを考えていたい。他のお客様のことが頭をよぎるような状況では、本当の意味で「全力」を尽くせないと思っていました。
「指名してくださっているのに、私がするのはカットと会計だけ」——そんな状況に、正直、もどかしさを感じていました。せっかく信頼して来てくださるなら、最初から最後まで私が担当したい。それが素直な気持ちでした。
私がなりたかった美容師像
目の前にいるお客様に全力投球する。一人ひとりを大切にする。それが、私がずっとなりたかった美容師の姿です。
美容という仕事は、単に髪を綺麗にするだけではないと思っています。サロンに来てくださるお客様は、日々の生活の中で何かを抱えながら来てくださっている。施術を通じて、その方を少し前向きな気持ちにできたら——そんな想いで仕事をしています。
「髪が決まると、気分が上がる」という経験は誰にでもあると思います。その瞬間をつくることが、私の仕事の醍醐味です。
だから、独立した
開業を決めた理由は、自由に自己表現がしたかったから。薬剤の実験も、施術の練習も、自分のペースで追求したかった。お客様に「この人だから任せられる」と思ってもらえる美容師になるために、自分を磨き続ける環境が必要でした。
フェルマータという名前は、音楽用語で「音符を自由に伸ばす記号」。忙しい毎日の中で、ここに来た時間だけは、ゆっくり自分のために過ごしてほしい。そんな想いを込めました。
完全個室、マンツーマン、完全予約制——これらは単なる「売り」ではありません。私が美容師として大切にしたいことを、そのまま形にしたものです。
あなたの髪と向き合う時間を、大切にします。